全権力をコミューンへ!

全権力をコミューンへ!

 地下鉄では、ふだん乗客のふるまいを妨げ、互いを隔てている気まずさの痕跡さえ見あたらない。見ず知らずの者同士が話し合う。彼らはもうぶつかったりしない。街角で密談をするグループがある。大通りにはもっと大きな人だかりができて真剣な議論が交わされている。ある都市から別の都市へ、ある時から別の時へ、襲撃は呼応し合う。新築兵舎が荒らされ、燃やされる。建物から退去させられた住民は役所との交渉を打ち切り、役所に住みはじめる。会議の最中に、霊感を得た経営者が同僚たちを殺害する。あらゆる警官や憲兵隊や刑務所職員の住所録データが流出し、引越しが前例のないほど急増する。ひとは作りすぎて余ったものを村のかつての食料品店兼バーに持ち寄り、足りないものをそこで手に入れる。そこに集うのは、全般的状況や、機械工房に必要な設備について議論するためでもある。ラジオのおかげで、叛徒たちは政府の勢力が後退しているという情報を得ることができる。ロケット弾がクレルヴォー刑務所に打ち込まれ、壁が崩壊する。数々の「出来事」が始まってから、一カ月が過ぎたのか、あるいは数年が過ぎたのかもさだかではない。冷静になるよう何度も呼びかける首相はとても孤独に見える。

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